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首・肩・腕・背中の症状
体の痛み・しびれ
上肢の整形外科テスト
首から肩、腕、指に痛みやシビレが生じている場合のテストについて代表的なものを下記に示します。
頸椎圧迫テスト(Cervical compression test)
目的
頸椎圧迫テスト頸部を下方に圧迫して、後部椎間関節の異常や椎間孔の狭窄をスクリーニング。
患者のポジション
座位
方法
術者は患者の背後に立ち、左右の指を組んで患者の頭に置く。ゆっくりと、下方への力を加える。
以下の通り、いくつかのバリエーションがある。
- 患者の頚椎を中間位に置く
- 患者の頚椎を側屈位に置く
- 患者の頚椎を回旋位に置く
- 患者の頚椎を屈曲位に置く
- 患者の頚椎を伸展位に置く
検査結果の評価
局部の痛みは、後部椎間関節の異常、椎間孔の狭窄を疑う。
神経根症状が再現されれば、神経根の刺激、圧迫を疑う。
頚椎引き離しテスト(Cervical distraction test)
目的
頭部を上方に牽引して、椎間孔の狭窄、並びに筋や関節包の損傷を鑑別する。
患者のポジション
座位
方法
- 術者は患者の背後に立ち、左右の手で患者の頭部を挟むように掴む。
- 頭を身体から離すように、ゆっくりと上方に向かって牽引する。
- この位置を約30~60秒間保つ。
検査結果の評価
牽引中に根性の神経症状が緩和、消失すれば、検査は陽性である。神経根の圧迫を疑う。牽引中に、頚椎に局部的な痛みが感じられたら、筋のスパズムを疑う。
アプレイの引っ掻きテスト(Apley’s scratch test)
目的
肩関節の関節可動性、棘上筋の腱鞘炎を検査。
患者のポジション
座位または立位
方法
- 患者は頭の後ろに手を延ばし、肘を曲げて、反対側の肩甲骨を触る。
- 患者は背中に手を回し、肘を曲げて、反対側の肩甲骨を触る。
検査結果の評価
肩の痛みが再現されれば、回旋筋腱板/ローテーターカフ筋の腱(特に棘上筋)の腱鞘炎を疑う。
背中に手が回せない(肩関節の伸展、内旋ができない)場合には、癒着性包炎の可能性が高い。
肩甲骨に手が届かない場合は、肩関節、肘関節の可動性減少が考えられる。
腕の落下テスト(Drop-arm test)
目的
自動運動で肩関節を内転させ、回旋筋腱板/ローテーターカフ筋の断裂を検査。
患者のポジション
座位
方法
- 術者は症状のある側の腕を外転方向に、直角より少し上まで持ち上げる。手の平は下を向いたままにする。
- 患者の手を放し、患者にゆっくりと腕を下げていく(内転させる)ように指示をする。
- 患者が問題なく腕を内転させることができるようであれば、次のステップに進む。
- 以上の検査を、検査側上肢に対し内転方向への抵抗を加えながら、繰り返す。
検査結果の評価
患者が、腕をゆっくりと下げられなかったり、肩の周囲に激しい痛みを訴えたりしたら、検査は陽性である。
回旋筋腱板/ローテーターカフ筋の断裂を疑う。特に棘上筋の断裂の可能性が高い。
肩関節外転テスト(Shoudler abduction test)
目的
肩関節を自動運動で外転させ、肩関節の障害の鑑別を行う。
患者のポジション
座位
方法
検査側の上肢を可動域の限界までゆっくりと外転させるように患者に指示する。
上肢の運動、痛みの再現などを観察、記録する。
検査結果の評価
外転約60~120度で痛みが出現 :棘上筋に異常(一部断裂、腱炎、石灰化)
外転約120~180度で痛みが出現:肩鎖関節の異常、リウマチ性関節炎
ファレンテスト(Phalen’s test)
目的
正中神経を伸張させて、手根管内での正中神経の刺激、圧迫を検査する。
患者のポジション
座位または立位
方法
- 患者は両手を最大に掌屈させ、甲と甲を合わせる。この位置を1分間保ち、感覚の変化を観察する。
- 両手を最大に背屈させ、平と平を合わせる。一分間の検査を行う。
検査結果の評価
正中神経の支配域に感覚麻痺が起きれば陽性。手根管症候群を疑う。
円回内筋症候群のテスト(test for pronator teres sysdrome)
目的
円回内筋を等尺性収縮させて、円回内筋による正中神経の圧迫を検査。
患者のポジション
座位または立位方法
- 患者の肘を20~30度屈曲位、前腕を回内位、手首を背屈位におく。
- 術者は一側の手で検査側の肘を掴んで固定し、他側の手でやはり検査側の手を背側からつかむ。
- 術者は手関節の掌屈と前腕の回外方向へ関節を圧迫し、患者はこれに対し抵抗する。
検査結果の評価
母指並びに示指に知覚異常が現れたり、痛みが再現されたら陽性。
下肢の整形外科テスト
下肢に痛みやシビレが生じている場合の代表的なテストを紹介します。
大腿神経伸長テスト(FNS = Femoral nerve stretch test)
目的
L2-4の神経根を伸張し、L2-4の神経根が圧迫によって刺激されているかどうかを検査する。
患者のポジション
腹臥位方法
- FNS
腹臥位から、患者の首を検査側に回旋させ、検査側の膝をゆっくりと屈曲させる。
術者は、症状のあるサイドの膝をやや屈曲させ、次に股関節を伸展させる。
痛みが再現されない場合は、膝をゆっくりとさらに深く屈曲させていく。 - 変形FNS
1の状態から、さらに検査側の大腿を持ち上げて股関節を伸展させ、さらに内転を加える。
検査結果の評価
鼠径部や股関節の痛みに加えて、大腿前部に痛みが走れば、L3の神経根の病理(L2-3椎間板)を疑う。
大腿前部から下腿前部に痛みが広がる場合はL4(L3-4)の神経根病理を疑うとされている。
大腿外側に痛みが再現されれば、外側大腿皮神経の刺激、圧迫を疑う。
下肢挙上テスト(SLR = Straight leg raise)
目的
坐骨神経 (L5-S2)とその硬膜を抹消側に伸長し、L4-5、L5-S1の神経根の刺激を検査する。
患者のポジション
背臥位
方法
膝を伸展位にしたまま、術者はゆっくりと患者の足を挙上させる。
患者が痛みを訴えたところで屈曲を止め、検査台との角度を測定する。
検査結果の評価
0~70度の間で下肢後面に電撃痛が走れば真の陽性である。
加えて、腰部の局所的な痛みも含め、坐骨神経に沿って痛みが現れれば陽性と見なす。
陽性では、主にL5-S2の神経根の刺激を疑う。
70度までに痛みが再現されない場合にはテストは無効とされる。
SLRが陽性でも、必ずしも椎間板ヘルニアとは限らないことに注意。
神経根刺激のレベルを確認するために、筋反射、知覚神経、筋力検査等の神経学検査で構造的な病理を確証することが必要。
変形SLR(Modified SLR)
目的
痛みや神経学的症状が神経根の刺激によるものか、遠位での末消神経の刺激によるものかを区別する。
患者のポジション
背臥位
方法
- 変形SLR1(シカール徴候)
症状が再現された角度から、持ち上げた足を約5度降ろす。術者は、検査側の足の親指を伸展させる。
- 変形SLR2(ブラガード徴候)
シカール徴候と同じ位置で検査を行う。検査側の足首を背屈させる。
- 変形SLR3(ボンネー徴候)
シカール徴候と同じ位置で検査を行う。下肢を内旋、内転させる。
患者の反応に注意しながら、操作はゆっくりと行うこと。 - 変形SLR4
SLRの位置から、股関節を外旋させる。患者の反応に注意しながら、操作はゆっくりと行うこと。